小規模宅地 99.825坪まで、8割引

 平成27年1月1日から相続税法が変わる旨、3月29日国会通過以来、日本中の本屋さんの店頭が、にぎわっています。
 平成21年8月の総選挙で民主党が勝って、マニュフェストに載った通り、(元大蔵省エリート)古川元久議員さんの主張もあって、不動産資産家の方々から相続税をもっと徴収する作戦の第一段階が、平成22年4月1日以後の小規模宅地適用条件厳格化でした。

① 相続開始の直前において、亡くなられた父・母の自宅敷地を相続人の親族、又は遺贈を受ける人は(配偶者は100%OK)、父・母と直前から同居し(相続開始の時から・・・・と要件には書いてありますが、亡くなる前日の住所転入って、出来ますかね・・・・?)、相続税の申告期限(10ヶ月目)まで引き続きその家屋に居住し、且つ、その敷地を有している人に限定されたのです。
 被相続人(父、母・・・・)と同居していない相続人→は、相続開始前3年以内に、日本国内にある自己、又は自己の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において、被相続人の居住の用に供されていた家屋は除く)に居住したことがなく、且つ、相続開始の時から相続税の申告期限まで、その敷地を相続継承した人。
矢印但し、まだ相続開始の時に日本国内に住所がなく、且つ、日本国籍を有していない人は除く。

つまり
それ以前に同居の母が、亡くなった父の自宅敷地を1%相続すれば、長男は、東京に住んでいても、残り99%を小規模宅地8割引がOKとなっていたり【→1%のみ小規模】  10階建の都心ビルの10階ペントハウス(最上階のオーナー自宅居住空間)に住む長男が、ビルの敷地240㎡まで全て8割引OKとなっていたものを、9階分は×【→10階分の1居室分のみ・・・・10%だけ小規模⇒いわゆる床面積按分です。】と、狭く適用したものです。
  平成22年4月1日から平成25年12月31日までの都会の相続は、父・母とあらかじめ同居していないと、エライことになっているのです。
  それまでの200㎡5割引そのものは、廃止されたのです。
1階と2階、又は 左右別々の玄関で出入りし、食堂も浴室 も別々の、分離型2世帯住宅は、本日現在、別家屋です。
 分離型住宅は内部の壁に穴をあけ、親子間で行き来が出来るように改造しましょう。上下型は、内階段を通しましょう。親子水入らず、同じ食卓を囲み、大きい方の浴槽のみ、今日から風呂を沸かすのです。
 地元、名古屋の屋敷敷地では、みなさん、親と子が2軒の別棟で暮らしておいでです。
 渡り廊下を設け、寝室は別でも食堂は1つにして、風呂1つ・・・です!
 これが、平成25年12月31日までの話です。

② 平成27年といわず、平成26年1月1日以降、ちょっとだけ緩和されます。
  この小規模宅地要件を、平成24年12月の総選挙で勝ちあがった自民党、特に東京選挙区の若手議員さんが、修正しようと動きました。
 せめて、都心の2世帯住宅ぐらい、要件を緩和しよう!
 「1棟の2世帯住宅で、構造上区分のあるものについて、被相続人、及びその親族が各独立部分に居住していた場合」・・・・分離型2世帯住宅でも8割引OKとなります。
  これにあわせて、やはり平成26年1月から、老人ホーム入居時の相続税の小規模宅地等の特例の取扱いが明確化され、老人ホームの入所者で要件を満たす場合に限り、「相続の開始以前において被相続人の居住の用に供されていたもの」として特例の適用が認められることとなりました。
  要件というのは・・・
    ①被相続人に介護が必要なため入所したものであること
    ②家屋が貸付けなどの用途に供されていないこと  の2点です。
現行では・・・・(H22.4.1から厳格運用中)
    ①被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人
     ホーム入所が認められること(原則、特別養護老人ホームの入所者など)
    ②いつでも家に戻れるように建物の維持管理が行われていたこと
    ③入所後、他の者の居住の用などに供していた事実がないこと
    ④老人ホームは、被相続人又はその親族によって所有権や終身利用権が取得さ
     れたものではないこと・・・の4点が要件となっています。

今回の改正によって、国税庁の質疑応答事例にある『建物の維持管理』と『終身利用権が取得されたものでないこと』の2点の要件がはずされ、その他は従来と同じ扱いとなります。
 更には、今回の改正で、こうした有料老人ホームの入所者は「病気治療のため病院に入院した場合と同様の状況にあるもの」に判断されます。
 一方の「建物の維持管理」について、質疑応答事例では、「その建物の起居に通常必要な動産等が保管されているとともに、起居可能なように維持管理されていること」としています。
 この要件が外れるとなると、家財を撤去し、電気なども止まっているケースでも認められるのか・・・?
 やはり、税務調査が入れば、他人に貸し付けていないという冒頭の要件であっても、家財を撤去せず、仏壇や電化製品も、とりあえずそのままにしておいた方が、安全でしょうね。

  緩和はここまでです。

 屋敷内の親子別々の2軒ならびでは、8割引にならない・・・・これが結論です。同一生計ならば別棟でもいいとなる可能性は、今日現在運用されていないから、わからないとしか・・・・・

③ 更に、平成27年1月1日以降は
 ● 亡くなった人の自宅底地評価額を最大8割減額することができる『小規模宅地』の対象を、330㎡に拡大します。(これが99.825坪です!)
 かつて200㎡だったものが、平成13年1月1日から240㎡に、特定居住用宅地枠が拡大されて以来、14年ぶりの地積アップです。
 これまでにも、特定事業用宅地枠は平成13年に330㎡から400㎡にアップしていましたから、規定路線の枠なのですが、みな様の土地を評価したり、測量したり、売買取引をお手伝いする私共としては、感慨深い広さです。
      * 3.30578512・・・・
      * 400分の121
      * 0.3025
    200㎡ ―――― 60.5坪
    240㎡ ―――― 72.6坪
    330㎡ ―――― 99.825坪≒100坪
   日本人にとって、かつてウサギ小屋と呼ばれた自宅敷地100㎡(30.25坪)。
   200㎡・・・・そして、今回330㎡・100坪まで、ようやくたどり着きました。(因みに、かくいう私の自宅は、121.45㎡・・・・)

● 完全併用可。
 これに、今まで選択制だった特定居住用240㎡と、特定事業用400㎡が、330㎡+400㎡=730㎡まで、8割引きOKと、拡大します。
 お医者さんの100坪自宅敷地と、121坪診療所敷地は、息子さんも医師として跡を継ぐと、全て8割引きOKです。但し、父と同じ仕事を継いだ場合、限定です。【賃貸事業は200㎡、50%引き《併用不可》のままです】
 親と同居し続け、親を看取り、その敷地を相続税申告日まで所有し続ける。これにピッタリ条件を合わせておかないと、平成27年1月1日以降は、基礎控除減額の荒波をモロにかぶることとなります。
 誰が同居するのか。長男に限らず、親の面倒をみて同じ屋根の下で生活することが許される環境にある相続人が、父母の自宅土地建物を継承することが、相続税対策の一里塚です。
 尚、「小規模宅地の評価減」は本人居住用だけでなく、「生計を一にする親族の居住の用」も8割引は可能です。そのため、介護目的でない等で条件を満たせない場合でも、一方が他方の生活費全てを負担している等、親と子の生計が一と判断できれば「生計を一にする親族の居住の用」として8割引は可能です。
  ・・・・といってみても、自宅を遺産争いで奪い合っていたら、節税どころではありません。親としては、遺言を父・母揃って公正証書で作成し、面倒をみてくれる子に、名義移転してやりましょう。
 そこまで予防線を張って相続準備をしておかないと、小規模宅地特例そのものが使えない時代です。
 遺言は、絶対に常備薬として、みな様に作成義務あり、といっても過言ではないのです。

資産課税が復活するの?

1946年、安倍首相のいう、アメリカ連合軍に日本がまだ占領下にあった頃実施された財産税法、昭和21年3月3日午前0時において、国内に在住した個人の財産の全額、及び国外在住の個人が国内に所有した財産に対して課税する法律がありました。
 戦時利得の没収を目的に、GHQによって昭和21年2月17日、臨時財産調査令が発せられ、預金封鎖と新円切替が執行され、3月3日時点の財産を強制的に申告させられました。
 戸籍法の適用を受ける個人を対象といいますから、当時は、中国や台湾の人々など、日本人以外にも該当したのでしょうか。10万円超25%、15万円で40%、20万円超~30万円以下で55%、300万円超~500万円以下80%、1500万円超で90%という、ものすごい税率でした。更には昭和25年に富裕税(500万円超に0.5%、5000万円超に3%)が、28年に廃止されるまで導入されていた事を知る方もおみえのことでしょう。
 上述の財産税法は臨時法ですが、実は廃止されていないので、正確には徴税停止状況にあり、財務省の中では復活を求める議論もあるとか。
『4月20日号週刊現代のスクープ』として、70才以上の国民に「資産課税を課す!?」というレポートが、P32~P36に載り、当時の納税者トップ10には、松下幸之助、住友財閥創業者の住友吉左衛門、ブリジストン 石橋正二郎、ミキモト真珠の御木本幸吉各氏の顔ぶれが揃ったと書かれています。
 ヨーロッパでは小国キプロスで預金課税が打ち出され、銀行の預金を下ろす取り付け騒ぎが起きています。
 日本の預金に課税・・・この流れは、以下解説する、平成25年4月1日に国外財産課税からスタートしたと見ることもできます。

● 日本国籍を有しない非居住者に対する相続税・贈与税の課税対象の拡大。つまり、日本の資産家が子や孫に外国籍を取得させ、海外居住している間に、海外預金や外国公社債を贈与するといったスキームを、節税ではなく脱税と認定するという改正が、この4月から行われているのです。
 この4月1日以後、相続もしくは遺贈、又は贈与により、国外財産を取得した場合、相続税、贈与税を課します。
 国内外の金融機関口座の、国外や国外有価証券を各々定義をしっかり定め、国外財産調書制度により、本年12月末に、5000万円超保有している内訳明細を調書として、所轄税務署に提出します。
 どこまで申告を徹底し、罰則を適用するのか、今後ザル法か補足強化となるのか、庶民にとっては無関係でも、相続税の負担回避の一手として、国外資産への組み換えを実行されてきた日本のみな様がおられるのも事実。
 ヤンキースのイチロー君も来年3月15日の申告時に、名古屋西税務署に、100億円超で報告されるのかな?

これまでは、日本国籍の相続人に課税されても、外国籍を取得した子や孫は非課税でした。平成11年に1000億円分株式を香港在住の長男に贈与した武富士事件がありました。この翌年の平成12年度改正では、相続人が財産取得時に国内に住所をおいていなくても、日本人国籍の場合は、相続の開始前5年以内に被相続人、又は相続人のいずれかが国内に住所を有していた場合に、国外財産も課税対象としていましたが、最近では、外国籍取得パターンによる租税回避が目立ってきていました。

平成23年3月24日名古屋地裁で、中央出版会長のお孫さん(アメリカ生まれのアメリカ人)に対する贈与税課税で、一審が納税者勝訴となり、国が現在控訴で勝ち、最高裁で結着をつけるその前に、法律改正です。 5億円の生命保険へ投資する信託契約に関して・・・これからは駄目ですよ、という訳です。 今回も、武富士事件、中央出版事件を受けての訴訟中改正ですが、50万円の罰金刑では生ぬるくて、みなさん、調書提出をされますかねぇ?

中央出版(名古屋市名東区)の会長(62才)が、贈与税を課税されないと判断し、アメリカの孫(9才)に5億円の米国債を贈与し、信託会社が孫を受益者とする信託契約によって財産を預かり、孫の父親を被保険者とする生命保険を購入したというもので、名古屋国税局が2007年に3.1億円の追徴課税を課しました。
 孫の父親は、中央出版のアメリカ法人に勤務しているというものの、この会社は休眠状態で、父のアメリカでの収入はなく、日本とアメリカを行き来していたという背景にて、本年4月3日、2004年契約時に乳児だった孫の生活の本拠地は、日本国内にいる親の養育のもとにあり、として、高裁にて地裁の処分取消を一転、追徴を認めました。
 という具合に、資産家の方々は、節税に走り過ぎで、日本に税金を落としたくない病にかかっています。
やり過ぎる方々がこれ以上増えると、本当に資産課税;財産税法が復活しますよ。

以上文責:伊藤直樹

★★ 次回以降 相続情報セミナー 開催のご案内 ★★

平成25年6月1日(土)港区役所 2階講堂
13時開場 14時開演   入場無料・予約不要・入退場自由
お席は150席。お待ちしております。


平成25年8月17日(土)中区役所 地下ホール
13時開場 14時開演   入場無料・予約不要・入退場自由
お席は500席。お待ちしております。
■ 相続に関しての講演(14時~16時)
■ 無料個別相談(13時より開催)先着順にて受付致しております。

名古屋市内、各区役所を会場としてお借りする場合、公共施設ですから、当然、利益目的でない行事である事を誓約します。壺や布団も売りませんし、書籍販売もございません。私ども『あいち』が、地元でこうして士業サービスで禄を喰むことができている報恩、還元のつもりにて、精一杯、相続情報をお伝えし、よろず相談コーナーで皆様の悩み解決の方向指示機となれるよう、努めるのみです。 どうぞ、お気軽にお立ち寄りください。

贈与一覧

平成25年税制改正では、高齢者から次世代3世代に財産移転を促すことが大きなポイントとなっているように思います。その代表が「教育資金贈与」です。その説明と合わせて、他の贈与についても「内容」と「注意点」について改正も含めて一覧にしてみました。

[1] 暦年贈与
 ◎ 内 容 : 暦年中に110万円を非課税で誰にでも贈与できる。
 ★ 改 正 : 20歳以上の孫等の税率を下げる。(平成27年から)
 ※ 注意点 : 時間がかかる。受取人の意志確認。
コメント ~  やっぱり111万円贈与して税務署に申告納税をした方がよいと感じているのは、相続時には子はもちろん孫の預金残高も税務署は調べますので、仮に未成年の孫に1000万円の預金があったとしても、申告をしていれば税務署も名義預金を疑っての税務調査は無くなるのでは!? 調査は無いにこしたことはないですよね。

[2] 相続時精算課税贈与
 ◎ 内 容 : 2500万円まで無税で贈与できるが相続時は課税される。
   ★ 改 正 : 贈与者を60歳以上とし、受遺者に孫を加える。(平成27年から)
 ※ 注意点 : 適用年から暦年贈与が不可。原則、相続税対策としては使えない。

[3] 配偶者贈与
 ◎ 内 容 : 2000万円まで自宅不動産を無税で配偶者に贈与できる。
 ※ 注意点 : 婚姻期間20年以上。その他税金+諸費用で約70万。

[4] 住宅資金贈与
 ◎ 内 容 : 子・孫等のマイホーム資金を無税で1200万円(平成25年最大)
 ※ 注意点 : ローン控除・配偶者の親からの贈与とのバランス
コメント ~  配偶者(の親)がいくら出したか?建物本体以外の外構・家具建具は誰のどのお金をあてたか?などを、予備知識なしでその都度おこなって混乱している方が多い。不動産の名義は、本来単純に払った人にすれば良いのですが。。。。

[5] 非課税となる贈与
 ◎ 内 容 : 9項目限定列挙されている。
 ①法人からの贈与②生活費教育費③公益事業用財産④特定公益信託⑤心身障害者共済
 ⑥選挙資金⑦香典等⑧特別障害者扶養信託契約⑨相続年分の贈与

[6] 教育資金贈与
 ◎ 内 容 : 30歳未満の子・孫等への教育資金を1500万円無税で贈与できる。
 ★ 改 正 : 平成25年4月1日から平成27年12月31日までの贈与が対象
 ※ 注意点 : 30歳までに使わなかった残額に贈与税がかかる。支払証明する。
コメント ~  教育資金の範囲は?手続の手間も含む資金管理コストは?信託銀行各社が、税務署とのやりとりを代行してくれます。当然ですが、相続税納税のための資金には使えません。

★ 3月30日公布の文部科学省告示で、認定こども園や保育所など、国外でもその国の学校教育制度で位置づけられている学校、日本人学校、私立在外教育施設も含まれました。国内のインターナショナルスクールも一部対象となります。
 一方、学校等以外に対して直接支払うものであっても、
  ① 学習塾や家庭教師、そろばんなど教育に関する役務の提供の対価(入会金や月謝)や施設の使用料
  ② 野球やサッカーなどのスポーツ教室、茶道、絵画といった、文化芸術に関する活動、その他教養の向上のための会同に係る指導への対価など
  ③ さらに①の役務提供や②の指導で使用する物品の購入に要する金銭で、指導を行う者を通じて購入するもの(指導者名で領収書が出るもの) 以上については、500万円まで贈与税はかかりません。
 このため、塾の教材を書店で購入した場合や、野球用品を専門店で購入した場合などは、塾や指導者を通じて購入するものではないことから、非課税対象とはなりません。
 また、領収書には、支払い日付、金額、支払者(宛名)、支払先の氏名・名称、住所・所在地のほか、「○月分○○料金として(○回又は○時間)」といった摘要が必要です。
 もともと扶養義務者相互間であれば、通常の生活費や教育費は、通常必要な範囲は贈与税も非課税です。が、1500万円が一括で贈与できる点が評価できます。
 尚、贈与を受けた側が30歳を前にして死亡した場合も非課税とは、嬉しいような悲しいような…。   結果、MAX平成57年まで、手続きは続いていくのです

●TOPICS●   グーグルはこのほど、新しいサービスを始めました。その名も「休眠アカウント向 けサービス」。グーグル利用者がこの世を去る際に、自分がデジタル空間に所有してい るものをどうするか、あらかじめ指定できるようにしたものです。このサービスでは、自分のアカウントが休眠状態になった場合、メール、文書ファイル、動画、写真など 全てのデータを自動消去できるほか、信頼する相手に手渡すような設定もできます。 自分の意思に反して親密な内容のコミュニケーションを誰かに見られるのは、気分 が良くないですよね。 グーグルの提示した方法が素晴らしいのは、死後のプランバシー設定が自分ででき ることだとか・・・・。

保険金・退職金の相続税の非課税枠

平成25年税制改正では、平成23年(民主党による)保留改正案にあった同一生計親族以外の相続人分の非課税枠の制限も含めて「保険金の非課税」については改正がありませんでした。
来年度以降に何らかの形で改正がある可能性は高いのですが、数少ない非課税枠ですので、利用されていない方は利用したいところです。

平成25年4月より、金融庁で定める標準利率が1.5%から1.0%へ引下げとなることにより、多くの生命保険会社において4月以降契約分から「保険料の引上げ」「解約返戻率の引下げ」が行われるようです。以前お伝えしていた男性90才、女性95才の保険も、4月からは男性女性ともに90才までとなったようです。
 更には、死亡退職金についても、生命保険と同額(500万円×相続人の数)の非課税枠が別枠にて用意されています。同族会社を経営されている方は、会社からの死亡退職金を出せばよいのですが、個人事業主の方で特に不動産事業主の方は「死亡退職金」の検討はあまりされていないようです。
 そこで、知る人ぞ知る「小規模企業共済制度」について、まだまだご存知ない方も多いので簡単に内容と注意点をご紹介致します。

 

独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営している小規模事業主の退職金積立運用のための共済制度です。
 全額所得控除ができ、受取は生前であれば所得税率の低い退職金として、死亡後であれば非課税枠範囲内であれば相続税もかからないため、税金対策としては有効です。
 ただし、注意点が3つあります。
 ① ご高齢の方の加入ですと、万が一6ヶ月以内で相続発生があると掛金が戻ってきません。最初試しに月額千円で掛けて7ヵ月後に年額84万円(上限額)まで引上げる方法もあります。
 ② 受取人は決まっています。配偶者がいれば全額配偶者、なければ子が均等、子もなければ兄弟均等です。もし遺言で一人の相続人に全ての財産を残すとされている場合は、この共済金だけは原則は他の相続人にも分配することになるため、利用されないという方もおみえです。
 ③ 死亡により相続人が受取る場合は全額受取れます(①を除く)が、その前に解約をした場合は、最大20%は減額されてしまいます。無理のない金額設定をして解約をしないようにするか、契約者貸付金制度をご検討下さい。

以上文責:税理士 一杉顕法

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