相続法制(1980年。S55年改正以来)約40年ぶりに、 大幅な見直し。今国会に提出され、審議されています。

~ 実家は、短期・長期居住権に加え、婚姻期間が長期間の場合には、 子供達との遺産分割の計算対象とみなされない。~

結論
~今回の改正法案は、全く争族の対応として0点。伊藤直樹のお勧めする手練手管に、もう一度真剣にご注目いただくことの方が、絶対安全です!

 法務省は、平成27年1月1日相続税法改正後、大都市の、はまってしまった実家を巡る、子供達VS未亡人の所有権争いに、それなりの回答を用意したつもりになっておみえのようですが、私共あいち事務所は名古屋をベースに、相続コンサルタントとして、裁判所へ行かずに未然に円満な相続手続を素早く執り行うスタイルを、昔も今も貫いています。

 現在の民法でも、居住用財産(土地・建物)を婚姻期間20年以上であれば、2110万円の相続税法上評価相当分を非課税で生前贈与することが出来る税法上の特例はありますから、改正法ではもっと踏み込むのかな、と中身を拝見したところ、改正要綱案にはガッカリさせられました。
 「婚姻期間が20年以上であれば、配偶者が生前贈与などで得た住居は『遺産とみなさない=遺産分割の計算対象としない』という意思表示があったと推定する規程とする」というのですが・・・。

 
相続法(民法の第五編)が改正

 民法第882条~第1044条にわたって相続ルールがうたわれています。大きく改正されたのは、昭和55年(1980年)の配偶者法定相続分 1/3→1/2でした。
メインは、配偶者の死亡後、遺された側(主に女性でしょう) の生活配慮です。
● 配偶者の居住権を保護する『短期居住権』について。
  旦那さんが死亡する。生存配偶者である奥さんは、それまで住んできた実家に引き続き居住することを希望する。当たり前の話です。特に高齢になれば、年金以外、この先収入も乏しい中、持ち家というものは有り難いものです。
  配偶者は、被相続人の財産に属した建物を争族(!)開始の時に、無償で居住していた時は、遺産分割によって建物の帰属が確定するまでの間、その居住建物を無償で使用する権利を認める。
  奥さんには短期居住権の効力として、①用法に従った善管注意義務? ②必要な税金負担。公共料金等や簡易修繕費用の有益費は負担しなければならない・・・と解説が続きますが、この裏返しとして、都市部のこの国では今、老母を子供達が遺産分割協議の際、既に追い出すつもりで実家の土地や建物を換価処分する実情が普通の話になっているという事、ご存知でしょうか。
● 短期居住権の次は、死ぬまで無償貸借権です。遺産分割協議の結果、母と子は「お金は母さんに渡すよ。まだまだ元気だし、通院費、生活費かかるよなぁ。俺は嫁さんも同居したくないって言うから、母さんが一人でこの家に住むのを、陰ながら応援するさ。だけど、相続分として権利証の登記名義は長男の俺のモノにするってことで、印鑑はついてくれよな。」~子供が実家の所有権者となります。母は必要な負担費を払うだけで、死ぬまで「配偶者居住権」を確保してもらえる改正法です。 ・・・長期は、3ページを参照してください。

直樹反論
 母が息子、娘達から家を追い出される。ご存じ無い方、経験の無い方には理解出来ないでしょうが、これが東京・大阪・名古屋の普通の相続風景なのです。  息子、娘は伴侶を持ち、出来の悪い(?)孫の教育費等に悩み、困窮しておられます。老いた実母の事よりも大変な自分の日々の生活。恐ろしい実状をみなさんにお伝えしなければいけません。
母は実家で生涯を終えようとするなら、今回の法改正に頼ることなく、旦那さんに遺言を書いてもらう。又は生前に居住用財産の生前贈与を的確に片づけてもらっておいてもらわないと、結局、改正前と改正後で99%、何も 変わらないのです。
 次に、今回の改正ポイントを5個並べます。 その後でもう一度、反論させていただきます。

◎今回の国会審議中改正案のポイントは


 

(1)配偶者の居住の保護
    被相続人(亡夫)所有の建物に住み続けることができる権利を 創設する。
     → 短期居住権⇒所有しなくても、生涯、長期の居住権確保。
 (2)遺産分割から実家をはずす
    生前贈与したときには原則として、分割計算の対象とみなさない?
 (3)遺言制度
   *自筆でなくパソコンなどでも、自筆証書遺言の財産目録を作成できる。
   *更に、全国の法務局が自筆証書遺言を保管する制度を創設する。
 (4)相続の効力
    遺言などで法定相続分を超えて相続した不動産は、登記をしなければ第三者に
    権利を主張できない!?
 (5)相続人以外の貢献の考慮
    相続人以外の被相続人の親族(相続人の妻など)が被相続人の介護をしていた場合、
    一定の要件を満たせば被相続人に金銭請求できる。

さぁ、反論=直樹がお伝えする正しい解釈です

【1-Ⅹ】
  配偶者の気持ちもわかっていなければ、子供達が既に、母の老後の面倒を看る資力も失っていることを無視した法案ですね。子供は実家を売りとばさないと自分達のお馬鹿な子(孫)の養育が出来ない・・・・みな、生活能力の無い子供達が泣いて頼めば、法改正後も母は黙って、設備なきボロ老人ホームへと江戸城開城です。
  賃借権が登記されていなくてもなんでも、母は自ら淋しそうに転出するしかない。弁護士さんが金カセギに、大丈夫です!と優しい言葉をささやいてくれたって、母は自ら我が子の為に実家を売る協力に走るしかないじゃないですか。

【2-Ⅹ】
  子供達は自分で生きていけ!母は母の老後を楽しむ。と固い決意の未亡人のみなさん。生前贈与、又は公正証書遺言で自分の家にしておく防御を企ってください。それを成しうるのが夫婦間20年生前贈与2110万円…又は公正証書遺言による「実家は妻へ」条項のこしです。それしか対抗策はありませんよ。
  この生前贈与をしていた時って結局、現行法と変わらない。この法改正は嘘つきですね。

【3-Ⅹ】
  遺言について、今回の法改正を考えた法務省の東大卒のエライ方々。その周囲の大学教授のみなさんって、遺言を公正証書でつくらないでどう なるのかって、真剣に想定していないでしょう。怒りますよ!
 公正証書遺言→あいち事務所、私伊藤直樹に頼めば、 正直、25万円フルパックで3ヶ月内に書き上げさせて いただいています。
  なぜ、ワープロ自筆?/なぜ、今さら法務局保管?
  公証人制度で十分にあいち事務所のお客様は、安心安全な公正証書遺言を作成され、その相続人のみなさんは、多少のドラマはあったとしても、ほぼ80~90%満足の遺言執行によって、裁判所に協力をお願いすることなく、1年内(10ヶ月の申告期日内)に終了されているのです。
  今回の自筆証書を助長するダメ法案は、伊藤直樹からハッキリ申し上げます。
 「たかが公証人役場の実費5~10万円を値切る人を、法改正 までして助けなきゃいかんのですか?」と。
  どうせ自筆は家事調停+裁判行きです。
弁護士さんの仕事を増やしたいのですかね?

【4-Ⅹ】
  登記をしなければ主張できない、という発想は弁護士さん、司法書士のもの。先に登記をしてしまえば裁判されない限り、ひっくり返る筈はない。
 法務省のエライさんは実務がわかっておみえじゃない。法律の○×は最高裁までいけば日本国が決着をつけてくれます。
  しかし、相続問題はもともと「親族相盗」の世界です。家族の関係は所詮、ダラダラです。甘えあいです。法的に○×をつけることが出来ると考えて、今回の法改正に関与している東大卒のエリートの方々には申し訳ありませんが、人の心とは、そんなもんじゃないよ、と逆にこちらから耳元にささやいてあげないと、イカンですかね。

【5-Ⅹ】
  寄与分問題。これは100%、裁判勝負です。この改正法条文が出来たから、長男のお嫁さんが老母の下の世話をしたから500万円、貢献相続取り分を、弟・妹が了解してくれました…こんな美談、聞いてみたいものです。現実の家族の世相を知って、この議論をしてこられたのでしょうか。

結婚年齢の統一

 既に公職選挙法…選挙権18歳が取り沙汰されてきましたが、 民法改正の関係上、この件も表にあがってきました。
 かつて明治時代には、男性17歳、女性15歳でスタートし、戦後の民法改正で男性18歳、女性16歳…これは医学的見地から「女性の方が男性よりも身体の発達が早い」との理由only!?。昨今では選択的夫婦別姓の検討が目立っていたものの、ここへきて成人年齢引き下げ議論とあわせ、今国会にシラ~っと上程です。
 因みに厚労省の統計では、18歳未満で出産する女性は毎年3000人前後とか。今回の改正で18歳になる迄、婚姻届は受付られず、女性単独の戸籍が親元を離れ新たに作られ、後年、その我が子を認知届して初めて、男親の我が子への扶養義務が生ずるのだという解説を法的に述べられても、私、腹が立ってしようがないのですが、ご理解いただけますか?

TOPCS
配偶者居住権
審他の相続人が実家の所有権を相続しても、未亡人は死ぬまで終身住めます、という割に、この居住権の相続税の評価を計算し、所有権相続した、例えば長男は、その評価をマイナスした実家を相続することになる、という面倒な計算式が登場してきました。

※ ライプニッツ係数
これまで、交通事故など人身傷害事件における損害賠償を求める際、 介護費用や就労機会喪失による逸失利益など、賠償金と併せて時間 との兼ね合いで換算する方法

 


遺言書の保管等に関する法律(案)が明らかに

 自筆証書を法務局に保管することが、平易に出来て、後日相続人にも便利になると法務省さんは考えているようですが、何故、公証人役場にて遺言公正証書化する努力をやめさせるのか? 直樹には全く理由がわかりません。
 ただでさえ遺言の中味づくりには、将来の子供達の所得差、能力差、孫などとの関係性を配慮し、且つ、お父さんだけで作ればいいのか、お母さんもやはり同時に作成しておいた方が良いのか。将来の遺産の多少によっても、公正証書化する前に、しっかりと練っておかなければなりません。
その作成支援を、百戦錬磨のあいち事務所がお助けしないと、 更に簡単すぎる私製遺言の開封によって、ただでさえもめる事が 分かっていた家族が、余計大火になっている実情を、法案立法担 当者の方々は、随分甘くみられているのですね。

~ 内容を覗いてみましょう ~
●「遺言書保管所」=法務局
  法務事務官が「遺言書保管官」となり、事務処理にあたる。
● 遺言書の保管を申請したい者は、その住所地もしくは本籍地、又はその者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局に対して申請をしなければならない。
  しかし、遺言者が既に作成した他の遺言書が法務局に保管されている場合には、その法務局に対して申請することになる。
● 相続人等は、自分に関連する遺言書を法務局が保管しているかどうか、保管している場合の法務局の名称などを証明する書面を請求する場合、遺言書に係る画像情報等を証明した書面を請求する場合は、現に遺言書を保管している法務局以外に対しても請求することを可能とする。(但し、遺言者の生存中は不可。遺言書の閲覧請求だけは、当該保管法務局のみ)
● 保管するときの申請費用。閲覧や証明書交付請求には、別の政令で定める手数料を、収入印紙を貼って納める。
● 遺言書の紛失が防止できる。保管所に存在していることを把握できる。法務局事務官が遺言書の適合性を外形的(?)に確認した上、遺言書そのものを画像データ化して保存する。
従来必要だった家裁の検認は不要。→法務局は、閲覧等、又は画像データの交付請求人以外の相続人に対し、遺言書を保管している旨を通知しなければならない。・・・・とすると、これで相続手続は円滑化??
  その内容、中味については、誰が指導支援するのでしょうか?
今後の行方がとても心配です。

 以上が公証人役場で公正証書とすることなく、適当な自筆証書を画像処理されようがどうであれ、後日、使い勝手が悪くても、ただ亡くなるまで保管し、相続発生時には子供達が法務局窓口で受け取って、そこから戦争を始めるという…新たな火種をつくるシステムの登場です。
 もう一度進言します。今回の民法改正で始められるどの点をとっても、配偶者の立場は大して守れません。まして自筆証書遺言のほとんどは、後日、大量に増加された弁護士さんの訴訟等仕事となって、家族間の争いの火種を増産させるだけ。よって、公正証書遺言を作成する従来からのあいち事務所 遺言作成支援:基本25万円コースを一日も早くご検討なさってください。
 今回、長々と民法相続編の改正について解説させていただいていますが、この内容では相続関係を整備することは、ほぼ不可能です。
 例え、自宅=実家一軒の相続であっても、妻・子供・孫に10年後、30年後、50年後、どのように継承させるのか、真剣に専門家のアドバイスを受けて公正証書化されなければ、遺族は必ずハチの巣をつついた様な大騒ぎとなること必至。
「伊藤さん、ウチの子供達に限って、ケンカなんぞしないですから、 大丈夫ですって。お節介焼きすぎですわ。」というお父様。
一度ご自分のお通夜、告別式を、タイムトンネルにのって覗いて ご覧なさい。ホラ。既に奥様と長男、はたまた娘さんの、取っ組 合いが、今まさに始まったところですヨ・・・合掌。

かぼちゃの馬車 ;スルガ銀行の過剰融資とは

H30.1~2月 NEWS!

● 首都圏を中心に、女性専用のシェアハウス一棟売りを分譲していたスマートディズ(本社東京)が、購入者700名オーナーに対し一斉に、サブリース賃料の支払い停止…ほとんどが静岡県のスルガ銀行による3.5~4.5%の金利で、仲介料、登記費用、火災保険までフルローンを借りたサラリーマンや公務員。
  物件は転売出来る可能性はなく、全員自己破産か、スルガが被ってくれるのか?金融機関融資で貸した側が被る例は、バブル(25年前)以来ありません。
  まずは個人債務者の自己責任でオシマイです。この「かぼちゃの馬車のシェアハウス」のCMは、あのベッキーが演じていたといいます。重ね重ね、大変です。
  共同浴場、共同WCに8~20室のタコ部屋を、都会へ出てくる女性に5~6万円で貸す・・・・こんな賃貸事業が長く続くと思って買った人に同情するより、全額融資した銀行員の頭が狂っていたとしか思えません。

アパート賃貸事業 ≠ シェアハウス・一括リース

● 更には、大前研一さん(ビジネス評論家)や野中清志さん(不動産投資コンサルタント)といった、結構な有名人が講師や新聞広告にも名を連ね、今やらなきゃ損!といった投資向けワンルーム・コンパクトマンションセミナーが毎週のように開催されていますが、全て、絶対失敗!!します。
  どうしてこんな簡単な詐欺が平気で行えるのでしょう。私はアパート賃貸事業がベストとは思いませんが、絶対にベターな安心安全・ローリスクローリターンの最後の手段と考えます。何室かの入退去は数年単位であるのは当たり前。よって、個人が自ら賃貸事業を単独にてやろうなんて事を考えない方が良いのです。
  専門にアパート事業をそっくり任せられる会社は世の中にちゃんとあります。
⇒ しかし、一戸のワンルームマンションの入退去・空室リスクは、オーナーの破産直結・・・・という、当たり前がわからない、若いサラリーマン、公務員が続々と今日もダマされるセミナーに通っているのです。
アパート賃貸事業 ≠ ワンルームマンション投資

  6戸、8戸、12戸の賃貸・賃借人のフレキシブルな入れ替えによる継続アパート事業という、そんなには儲からない仕事。だけれども、空地の利活用。他の物件と合わせ、相続税の総合的な手当てが必要となっている地主さんは、アパートを建てる。OK!!
  サラリーマンなのに不動産投資に手を出して、一攫千金を狙う。全く違う土俵の話を、こんな低成長時代=アベノミクス時代に、成り立つ 訳がないって、わからんのですか???
  ワンルーム投資・・・・伊藤直樹には、全く理解できません。
破産しか出口はありません。

             

以上 文責:伊藤直樹

 

不動産を売った時の税金

みなさん、こ不動産(土地・建物)を売却すると譲渡所得税がかかります。
といっても、固定資産税・不動産取得税などのように役所から納付書が送られてくるわけではありません。税務署に自己申告して、自分で納付書をつくって納税します。
忘れていても税務署から「譲渡所得税申告納税ありませんか?」とお尋ねがきますので、漏れは少ないのですが、お尋ねが来るタイミングが申告開始時期の2月頃となるため、沢山の方があいち事務所には駆け込みでご相談いただきます。
そのご相談の中からいくつか注意点等を書きたいと思います。
① 売却した建物(事業用)の金額が1000万円を超えると、消費税納税義務者になります。
・・・自宅建物は対象外ですが、賃貸アパートのような事業用建物を売却された方は対象となります。普段は住宅用収入で消費税と無縁の方が初めて不動産売却すると見落としがちですので気を付けましょう。しかも消費税がかかるのはその売却した年ではなく、翌々年であること。不動産賃貸業の方ですと、翌年までに「簡易課税特例」の届出をした方が消費税が安くなる可能性が高いこと。翌々年に新築があり消費税還付を意図せず受けられてしまうことなどなど、消費税の世界は条件が変われば大きく変わる世界です。ご注意下さい。
② 「財産債務調書」提出義務のチェック
・・・不動産売却所得(利益)で2000万円以上となり、かつ年末時点で3億円以上の財産(又は1億円以上の国外財産)を所有の方は、「財産債務調書」を提出しなければなりません。罰則規定もあります。所得税・相続税の過少申告加算税が5%軽減されたり加重されたりします。あまりピンとこないと思いますが、この調書を提出したからといって税金が発生するわけではないので、淡々と提出をしておくことをおすすめ致します。
③ 平成21年・平成22年購入土地の1000万円特別控除
・・・平成21年当時、不動産流通による景気回復を目論み創設されたものですが、景気回復に役立ったのでしょうか?!ともかく、1000万円の×20%=200万円の税金が安くなりますので、漏れのないように気を付けましょう。
④ 自宅の3000万円控除
・・・ご自宅を売却すると3000万円控除されます。これは原則建物所有者であることが要件です。例えば、ご夫婦土地建物共有で売却されると6000万円まで控除があることになります。さらに、直前まで住んでいなくても約3年前に住まなくなって賃貸などしていても適用される、ということは知る人ぞ知るです。
税務署は個別に確認して税金還付をしてくれることはないので、知っているか知らないかの世界です。3年前までに相続した亡くなられた方の空家自宅についても3000万円控除が平成28年から創設されました。などなど、ご確認いただき、ご不明点は、是非あいちグループにご相談ください。

 

文責:税理士 一杉顕

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