表題部所有者不明 変則型登記の解消について

世代 司法書士会連合会の会館ホールにて、講演する機会がありました。
(令和元年11月30日、日本登記法学会)
 昨今とりあげられている相続未了や、昭和35年の税務署土地台帳から不動産登記への一元化移行作業時に生じた不備。昭和63年~平成20年のコンピューター化の際の不適合による事故簿への積み残しが、ここにきて、思い切った処理断行へと動き出しています。
 土地に対する私権があまりにも優遇され過ぎてきたことのツケです。公共を優先し、もっと私的所有権には制限、負担があってもいい、と私は思います。
 全ては、公共事業をメインに利用、流通を停めさせないことが大義名分です。
それなりの国家予算を投じて、解消に向けた取り組みが、長期的に恐らく何十年と続いていきます。
 昨年の司法書士による長期相続未了、戸籍収集、そして本年11月22日から、土地家屋調査士等による表題部変則型登記解消。ようやく2資格に活躍の場が与えられたのです。
 しかしながら、法務局の登記情報だけに頼ることはどうか、といった考え方も一方では強くなっています。
 総務省では、全国の土地の課税情報をもって代替する方が早いとか、現在の法務大臣諮問機関、法制審議会において結構ドンパチをやっています。
 さて、土地家屋調査士が早々に所有者探索委員という非常勤の2年任期、国家公務員に任命されます。
 一応、平成18年1月スタートの、法務局による筆界特定制度上、筆界調査委員という非常勤の公務員を経験済みですが、どこまで活躍出来るのか。
 今回は、弁護士、司法書士も任命対象です。各々、多少役割が異なりますので、競争です。
九州全土に相当する所有者不明土地…増田寛也元総務大臣がオーバーに発表していますが、ありゃ、オーバーです。国が行う地籍調査の案内郵便が、登記上住所で送ると2割は返ってきた。=だから2億筆×20%=410万ha…。
 東京財団研究員をされている吉原祥子さんも、オーバーに、九州の面積を超えるとうったえられる。とはいえ、実際に山林や農地、みなさんの元々の出身地での旧実家の放置、相続登記留保状況は、現実に大量に生じているのも事実です。
もう、所有権を放棄しちゃいましょう!という民事基本法制の改正も、来秋、秋の国会に上程予定です。
 現在の財務省、地元では東海財務局となりますが、今でも処理 している筈の国庫帰属の土地家屋への対応だけでアップアップ…。 この先、持ち込まれても管理・処分は不可能です。
全く新たな受け皿を作ることになるでしょう。
 又、放棄するには、現在所有者にそれ相応の費用負担を してもらうことになります。(予定)

● 日経の夕刊(11月26日)は、一面で、土地の相続登記義務化と報じました。
 上述、法制審議会の原案の取材報道です。
 登記手続を簡素化(?)する代わりに、(原案では)遺産分割の期限を10年とし、超えたら法定相続分に従って分割したものとみなしてしまう。
《 大きく動き出していきそうです 》

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登記スピード勝負。 揺らぐ遺言効力

 7月1日に始まった、バラバラ相続民法施行のパーツ。
 3点は有名(?)でしたから、末尾の②で簡略にご紹介しますが、 今回注目しないといけないのは、法定相続登記を、遺言で取り分が 少ない人から、急いでやってしまおうというメニューが登場したことです。

① 夫の遺言で、妻(子がいない)に自宅等全てを相続させるつもりが・・・
法定相続割合は、妻〔4分の3〕、夫の弟〔4分の1〕。6月30日迄ならば、妻が、法律上登記をいつやっても100%自分のものに出来ました。遺留分は、兄弟相続については、ありませんから。
7月1日からは、夫の弟が、4分の1、4分の3の法定持分相続登記を妻が知っている、知らないにかかわらず、司法書士に全体の登録免許税を払って法務局へ申請してしまう!
他の相続人の了解を得なくても、相続人全員は誰だって、それぞれが法定相続持分をもって、一括した登記ができます。実はこれは、これまでも出来ました。そして有効な遺言がありさえすれば、訴訟をすることで、妻は取り戻すことが法的に護られていました。
          ・・・・ところが・・・・
妻よりも先に、悪意をもって(?)夫の弟は、相続登記を法務局に持ち込み、この4分の1を自分の登記名義とした後、(イ)売却したり、(ロ)サラ金の担保に入れて借金すること・・・・も可能になったのです。
これまでの最高裁の判断は180度否定され、『法定相続割合(上述の場合、妻の4分の3)を超える分については、登記しないと、妻は第三者に権利を主張できない』としました。
結論、遺言を書いてもらって、自分の持分を保全してもらえる文面を確認したら、誰よりも早く!相続登記をすることです。
他の相続人から(法定相続分の半分が最低限保証)遺留分請求(今回、7月1日からは、遺留分侵害額〔現ナマ=お金のみ〕請求権)されても、金銭で解決するのみ。
今回の改正部分。ご存知かどうかで、随分結果が異なります。
法定相続登記。上述4分の1の自分の権利を確保させる作戦を遂行するためには、4分の4、全体の登録免許税を一人で負担していただく(遺産分割協議書等、添付は何も要りません)ことにはなりますが、費用対効果で、遺言作成されてしまった側の貴方も(!?)ご検討ください、と言ってしまうのもどうか? 
悩む事案です。

② 7月1日の3点
 イ)遺留分侵害額請求権
   減殺(げんさい)物権的効力から金銭債権へと移行。
   現金の支払いを請求したら、債権ですから、不動産を 差し押さえしてでも取り立てできます。
 ロ)特別の寄与
   特別寄与料という名で、法定相続権の無い身内から法定相続人に対し、現金を取り立てることが可能に。
     正に最初から争族訴訟闘争カードです。
 ハ)預金の払出し可能
     これまでは、銀行等の窓口は、死亡の事実を知った瞬間より預貯金封鎖していました。
   7月からは、自分の法定相続分×1/3、且つ、上限1行あたり150万円まで、各自がバラバラに出金できるようになりました。
   これまた、スピード勝負?!


成年後見の実態

 11月22日に中日新聞は、名古屋市〇区の司法書士事務所が、高齢者3名の成年後見口座から、2014年10月~2018年8月にかけて、3700万円分の現金を引き出し、着服したとして、業務上横領容疑で逮捕した、と報じました。
 司法書士本人ではなく、事務所の番頭さんに実質管理を丸投げしていたようです。このM事務員43才は、家庭裁判所を4年近くダマし通しました。名古屋地検特捜部もあきれたことでしょう。
 事あるごとに私直樹は、セミナー等を介して、この19年間(2000年成年後見制スタート)ずぅっとこの制度の危険性についてご案内してまいりました。
『地域包括支援センターやケアマネージャーさん、銀行、司法書士等から成年後見申立をいくら勧められても、決して利用なさらず、回避してください!』
認知症になることは回避できないかもしれませんが、同居されているご家族が、ご本人になりかわってコッソリ上手に支援し、法的な手続きについても代行していきましょう、と大変イケない助言ですが、今後も続けてご案内していく所存です。

 実は、上述の中日新聞の横領事件より注目する記事が同じ紙面に載っていました。
 津地方裁判所は、「三重県桑名市が、母79才が娘から虐待されていた事を受けて一時保護をし、市長名で成年後見申立を行った。これに対して娘は、精神的苦痛を受けたので、市と国に、計513万円の損害賠償を求めた」訴訟を棄却しました。
 娘は、成年後見状態とした判断を「虐待は事実無根」として訴えた訳ですが、裁判長いわく、「著しく不合理な点があったとは言えない」とし、少なくともお母さんについては、間違いなく成年後見状態であると判断。家裁の決定があった以上、死ぬ迄、娘さんはじめご家族のもとには、資金を管理する権限や、お手伝い役が戻ることはありません。

   家族内のいじめ、親に対するDV。
現代社会の家庭崩壊に、成年後見制度がメスを入れました。
 しかし、このような裁判結果の積み重ねにより、ますます 後見人をつけることが正しい事として一般化していきます。
 それが一般の平穏なご家族にとって、どんな影響が与えられるのか、まだまだみなさん、ご存知じゃない。それはそれは・・・・大変です。

● 厚生労働省の統計では、2020年に認知症に罹患するであろう高齢者は602万人に上るとされています。
 知的・精神障害者等を加えると、1000万人を超える人々がこの成年後見制度を利用し、何らかの支援を受ける必要があるとして、平成28年5月「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が施行されています。  全国、どの地域においても、必要な人が権利擁護を受けられるよう、平成29年3月より利用促進5ヶ年基本計画が厚労省で策定され、県及び市町村等自治体には、権利擁護支援センター・成年後見支援センター等が中核機関として立ち上げられ、整備されています。
 社会福祉士会や、弁護士、司法書士の真面目な職業成年後見人による、支援が必要な高齢者の発見や、独居老人へ手を差し伸べる活動。更には家裁と金融機関による、当人の預貯金等管理の新ルール=成年後見支援預金ルールも家裁が積極的に推奨しています。
→ 良いことです。必要な場合もあることは重々承知しています。
  しかし、なんとかこの制度一式、使わずに天寿を全ういたしましょう。
全うしていただけるよう、ご家族内でサポートをお願いします。

★ 遺言を書かれた方に、 更なる所得税基本通達の改正をお伝えいたします

世代 遺留分減殺が遺留分侵害額請求権へと金銭債権化されたことに伴い、7月1日以降、侵害額請求権を行使された際、手元に金銭がなかったら、誰だって相続した不動産を一部売却しますよね。
 これが代物弁済として取り扱われます。つまり、譲渡所得税がかかるのです。
 相続発生が6月30日までなら、減殺請求の効果として、遺留分権利者が目的物に対する所有権、共有持分権を直ちに取得したことになるので、譲渡所得税は発生しませんでした。
 今後、登記情報として「令和元年12月24日遺留分減殺」という登記申請は受け付けられません。
→ 対処方法として、遺言も侵害額請求権行使も全てなかった事にして、全員で遺産分割協議を行い、金銭分は代償分割にて (遺留分侵害額請求した人物)該当相続人に 渡すとする示談でもするのでしょうか。
 経緯状況でこの示談、聞いてくれますか?
相手の税金なんか、侵害請求をする弟さん達 には、知ったこっちゃあないですよネ。

上沼恵美子さん

世代 11月29日(金)まで朝日新聞に、「エミちゃん」さん、 人物自己紹介として、16回シリーズの最終回が掲載されました。
 人生の贈り物を語るエピソード文芸。
名古屋では三重テレビでしか放送されず、関西ではお笑いの大御所の上沼さんですが、東京~名古屋より北方面ではあまり識られていないかもしれません。本気で、スポットライトを浴びながら、ず~っとみなさんを笑わせ続けてくれています。
1994年・95年の2年間。紅白歌合戦の司会を2年連続で務められたのが40歳頃。今でも、おしゃべりクッキング(TV朝日系)、怪傑えみちゃんねる(関西TV)等で、25年以上冠番組を続けておられます。  このご夫婦、距離感を上手にとっておられるとのこと。本紙は「週刊文春」ではありませんから、ご主人が恵美ちゃん名義のマンションに住み、本宅で恵美ちゃん独りがTV局と家庭生活を行ったり来たりされている別居の事実をみなさんに公開するものではありません。但し、お二人は、別居してみて、お互いに体調が良い(!?)そうです。
 さて、この16回掲載を通じて伊藤直樹が興味を持ったのは、『トークが錆びたら、引退します!』という言葉でした。
 恵美ちゃんは淡路島出身で、故郷が阪神淡路大震災で被災した8年後の言葉です。
震災直後に、黙って1200万円、地元に寄付(チャリティー含む)されていた当人の厳しい自身の見方。
 恵美ちゃんは、おしゃべりだけで行けるところまで行く。だとしたら、伊藤直樹としては、2歳程下の若輩ではありますが、この先、セミナーやみなさんとのトークでご支援を続けられる内、どこまで実務をお届けできるものでしょうか。
 先回の本紙において直樹が、愚息紘一郎に、セミナーや相続手続実務を引き渡す旨、中間発表させていただいたのですが、まだまだ息子はみなさんからの満足をいただけるスターではございません。  大変申し訳ありません。
 しかし、直樹は元・ガン患者であり、そこそこの62歳です。
いつかは愚息が、みな様の遺言執行者として働かせていただくべきです。
かつて中央信託銀行(現在の中央〇〇信託銀行)の遺言執行を、相続人のみなさんの総意で直樹が解任させてもらった案件がありました。
 おじいちゃんは信託銀行に全面お任せ…のところ、その内容はともかく、信託銀行の手続きとしては、不動産部の仲介手数料を営業目的に、遺族が求めていなくても納税資金を作ってくれます。ありがた迷惑でした。
 直樹からしてみれば、本当にムカつくストーリーでした。血が通った遺言は商業法人に任せない方がよろしいかと、私は今でも固く信じています。

こんにちは。32歳になりました伊藤紘一郎と申します。

世代 平成27年より相続に関しての法律(税法・民法等)が様変わりする中で、みな様は上手にご対応いただけているでしょうか?
せめてこの文面をお読みいただいているみな様には、最低限の手続きは行っていただき、相続という、お身内が亡くなられることでこれまでの家族関係が壊れることの無いよう、ご案内申し上げます。
 相続においての最低限の手続きとは、相続税がいくらかかるかを知り、お持ちの不動産や預貯金等を誰に渡すか公正証書遺言で残すことだと考えます。2段階です。
 人間であれば必ず『死』は訪れます。それに対し準備をするか否かは自由にお決めいただけますが、下の流れ図(フローチャート)に記されている事柄に対し、ご意思通り、「はい」又は「いいえ」で進んだ上で、ご判断いただければ幸いです!

チャート



相続もめで相続税が高くなる?

世代

文責:税理士 一杉顕法


相続税には、分割協議がされていないと受けられない特例があります。
その特例で主なものは、「配偶者控除」と「小規模宅地等の特例」です。
「配偶者控除」は、配偶者が取得した上で受けられる特例ですので、行先が決まっていない財産については受けることはできません。財産の半分もしくは1億6千万円まで税金がかからない規定ですので、相続税減額金額は当然大きくなります。「小規模宅地等の特例」は、ご自宅や事業用土地等の特例で、取得された方の同居などの要件がございますので未分割では要件が満たされず、受けることができません。こちらも金額にすると何千万円もの課税価格減額になることもある相続税減額の大きな特例です。
税務署は家族の話合いを待ってはくれませんので、まずは10ヶ月ギリギリに、これらの特例を受けずに多めの相続税を納めなければなりません。
 とはいえ、特別の事情があり分割協議が10ヶ月以内に整わないこともございますので、救済措置はございます。
「申告期限後3年以内の分割見込書」です。
相続税の申告書に添付して税務署に提出しておけば、申告期限から3年以内(相続日から3年10ヶ月以内)に分割協議ができれば、それらの特例を受けて払い過ぎた相続税の還付を受けることができるのです。還付を受ける申告の提出期限は、分割をした日から4ヶ月以内です。
ちなみに上記の2つの特例以外にも「特定計画山林」や「特定事業用資産(同族会社の株式など)」についても同様にこの救済措置が認められています。
※※農地等非上場株式の納税猶予、物納はこの救済措置はございません。

では、話合いが3年経っても分割協議が決まらない場合は、特例を受けることはもう無理なんでしょうか??
「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」という申請書がございます。提出期限は、相続税申告期限後3年を経過する日の2ヶ月を経過する日(相続日から4年以内)までです。
そのやむを得ない事由としては、「訴えの提起」「和解、調停又は審判の申立て」「遺産分割の禁止」「相続の承認若しくは放棄の期間が伸長」がなされていることが挙げられます。税務署への承認申請ですので、税務署がやむを得ない事由として認めなければ救済措置にはなりません。ただ単に話合いがなされていないという事由では認めてもらえません。

 これらのケースは、家庭裁判所や弁護士さんを通して話し 合いとなっているため、相続税の話題が後回しになっている と思います。
ご注意下さい。ご家族で長~く話合いをされるとしても、 遺言書をつくっておいてもらって、相続税の軽減を受けられ るよう、前対策の話し合いをされることをおススメ致します。



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