ついに、改正相続税法が重たくのしかかる・・・!

平成22年冬。
極暑の次は極税です!
今回だけは、もう逃げられないようです。

2年前に麻生太郎(自民党)首相が、遺産取得課税方式への移行で農協のお怒りを招き、政権までひっくりかえしてしまいました。

尖閣問題やら普天間基地で全く成績の上がらない民主党ですが、圧倒的多数の議席を衆議院で保持している以上、自民党以来50年ぶりの新安定政権として、法改正についてはやりたい放題です。

“耳より情報”として、読者の方々に今回は、
ゆっくり、じっくりと、かみしめて、お読みいただきます。

11月末に通巻142号を印刷したところ、12月16日の政府税制大綱は

  • 定額3,000円+600万円×法定相続人頭数に基礎控除額を縮小。
  • 更には、久々に最高税率を50%から、55%にアップ
    (6→8段階累進制度へ) (贈与税率においても、55%までアップです。)
  • 死亡保険金の法定相続人1人あたり500万円を掛けた金額迄は、非課税だったところ、
    未成年者、障害者、亡くなった人と同一生計の者だけに限定。
各法定相続人の取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% -
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円 超 55% 7,200万円
(注)平成23年度改正後の税率

※ 次ページ以降の遺産課税方式までは踏み込んでいませんが、相続税増税元年に違いありません。

年間死亡者(日本…100万人+α)の約4.2%の課税対象者を、最低でも8%程度まで拡大したいとするその根拠は、18年前のバブル期以降、以前基礎控除2,000万円、相続人数1人あたり400万円ずつの加算額では負担が重いとした、永きにわたる相続税減税が、「個人格差社会のシンボル」であったとし、既に地価はすっかり下落している為、地主層は15年間もこの5,000万円。1人あたりも1,000万円の据え置きによって優遇されていると言い切っています。

今回の相続税増税は、この基礎控除 ①5,000万円 ②1,000万円/1人あたりの縮小に加え、更には③税率構造(かつては最高税率70%)④生命保険金、並びに死亡退職金の各500万円/1人あたり控除の見直しについても、言及されています。

恐らくは、1兆円強まで減収となっていたものを、3兆円程度の税収までは戻す為に、来春3月国会で民主党が提案していった場合、頼みとなるのは農協全国組織による反対というところですが、既に農協は自民党から離れ、民主党支援の状況。消費税や土地取引課税であれば、反対勢力はすぐ思い浮かんでくるのですが、今回の相続税引き上げ=格差是正の御旗に、反旗はのぼるのでしょうか。

  基礎控除額 相 続  
昭和62年以前 2,000万円 + 400万円 × 頭数
1988年 昭和63年 4,000万円 + 800万円 × 頭数
1992年 平成4年 4,800万円 + 950万円 × 頭数
1994年 平成6年 5,000万円 + 1,000万円 × 頭数

※ 2003年(平成15年)相続時精算課税制度の創設
2,500万円、3,500万円
15年間の据え置き格差拡大!?

2011年 平成23年 仮に 3,000万円 + 600万円 × 頭数

この増税のムチに対するアメとして提案されているのが、平成15年スタートの生前贈与制度の対象拡大です。平成15年1月1日から、これまで1年間に金110万円の枠とされていた贈与税の非課税枠を、全く別の課税繰り延べとする仕組みで金2,500万円(住宅取得の場合、金3,500万円)まで、贈与時には課税されないこととしました。相続時精算課税制度です。

今回はこの対象を孫にも広げるというのです。当初も65歳以上の親が余裕資金(不動産もOK)を、20歳以上の子供へ非課税(繰り延べ)で渡すと、子供が消費にまわしてくれるだろうという狙いでしたが、70,80,90歳代の親の子供は、50,60,70歳代と既に高齢者なのです。それよりも、無駄使いをパーッとしたり、マイホームが必要なのが、その孫である20,30歳代であるという狙いで、消費の活性化となるから、アメ+ムチで我慢しましょうという両面作戦のようです。

地主の皆さんは騙されてはいけません!これは繰り延べです。この7年余の間で、この精算贈与を利用したのは、ほとんど、もともと相続税のかからない96%側の方々です。4%+αに該当するお宅では、どのみち贈与税が全額、実際に相続が発生した時点で、課税対象財産にカウントされてしまうのですから・・・・

金110万円×家族中への生前分散贈与の方がずっとお得です。

孫に贈与して、これに限ってはおじいちゃんの相続時に100%カウントしない提案であるのか、更にはやはり次の世代の相続まで引きずって、いずれは繰り延べ精算されるのか。しっかり見張っておかないと、とんでもないアメ玉ということが予測されます。

孫が結婚して住む新居は、おじいちゃんの名義で建築すればいいんですよ。孫が乗りたいっていう車は、おじいちゃんの名義で購入して、おじいちゃんの病院通いの時に孫が送迎運転してあげるべきなんですよ。
この生前贈与、資産移転は、少なくとも相続税対策を必要とするご家庭には、なにも減税策とはならない事を前もってお伝えしておきます。

この前段(相続税基礎控除額縮少)と、後段(精算贈与)は、微妙にリンクします。7年前に金2,500万円までは非課税で、どんなに相続財産が他にあっても、“ 今、非課税 + 将来も非課税 ”と吹聴してしまった精算制度がある以上、まず、金2,500万円を下回る基礎控除額にはできません。

そして、住宅資金用に金3,500万円迄非課税でご購入いただいた息子さんの新築マンションは、7年経過しますと、まず、土地、建物で相続税評価上金1,000万円相当に評価減になっています。

まさか、この金3,500万円を下回る基礎控除額とする改正案も提案できないでしょう。

しかし、迷走し続ける民主党は、反発の声が上がる場合には、マニュフェストを変更し、取り下げ、反発の少ない増税や改正のみ、場当たり的にやっておられます。(政府批判ではありません。私見による事実です)「税調が高所得と考える納税者。いわゆる金1,000万円を超える所得者(年収にして、おおよそ1,230万円)には、配偶者控除を適用しない」とする検討が同時に進められていますが、代表的なマニュフェスト変更となります。当初、衆院選挙時の民主党マニュフェストは、「配偶者控除は全廃し、子供手当て月額26,000円の財源等にする」としていました。

配偶者控除とは、配偶者(妻ないし夫)の年間所得が38万円以下(給与収入なら年103万円)であれば、納税者の所得から「所得税で38万円、住民税で33万円」を差し引く制度です。内助の功に対する配慮に対し、一部、事実婚や、アラフォーシングル、独身女性、おひとりさまに配意した政策だったのでしょうか。この配偶者控除全廃は、各論となれば民主党の支持層から猛反発が出てくるくらい、当初からわかりそうなものです。たちまち、反発の少ない高所得世帯に限った「配偶者控除の適用除外増税」案が誕生してきました。

→ ずばり、課税所得1,000万円超の世帯では、年15万8,400円。
2,000万円超世帯では、年18万5,000円の増税効果です。

2011年、平成23年3月国会で承認された場合、所得税は翌年2012年1月から、住民税は2013年6月から適用です。実際に約900万人の国民が確定申告によって配偶者控除を受けています。この適用除外方式により、所得1,000万円超の150万人余が増税となり、国はこの1千数百億円の財源が、3歳未満の子供を持つ世帯に限った2万円の子供手当ができるとか・・・。

~ 同じような高給与収入者への給与所得控除の上限制導入も同様に…。
『一部富裕層から税金を取り立てろ!』という菅首相(いや、仙谷長官の声かな?)の指示のもとに、本格的な民主党税制改正が進められていきます。

ここで注意!!

現在の税調改正案は、マニュフェストでいう、遺産課税方式の相続法改正ではないのです。次期財務大臣第一候補といわれる、名古屋選出の衆議院議員(現 内閣官房副長官)の古川元久さん曰く、基礎控除額を零にして、(相続人・頭数の控除も零にして)誰でも相続税を払うようにしたら、高齢者医療費、老人介護費等は困らなくなる。これが、庶民相続税
・・・2009年11月税理士業界誌「税理」記事より抜粋。

つまり、遺産そのものにダイレクトに課税する。法定相続人を養子縁組で増やしたりしても、一人っ子でも5人兄弟でも、相続人の員数に関係のない税額を負担していただく、というのが、ズバリ遺産課税方式なのです。11月段階では、基礎控除を縮小すると言っているだけです。さぁ、どこまでヤルのでしょう。注目ですね。

完全遺産課税方式をアメリカ、イギリスでは普通にやっています。日本では、今、相続を巡る、親兄弟姉妹間のイザコザが当たり前になっているのですが、テレビや映画でご存知の通り、“英・米”では、身内間の揉め事なんぞ、日常茶飯事ですよね。揉めてたら、とても10ヶ月以内に増税負担になった相続税なんて払えないだろうと思いきや、“英・米”では、揉めないように遺言書を誰だって書くんです。いや、書かされるのです。英米弁護士は、ゴロゴロたくさんそこらじゅうにおられます。

また、ちょっとした金融資産を稼ぎ、銀行に預けようとすると、たちまちバンカー(プライベート銀行担当者)が貴方の為に「遺産をどなたに継承させるのかお決めいただいた上で、預金金利を決めましょう!」とニギニギしく、サービスしてくれるのです。つまり、遺言が必ず有り、遺言執行者が必ず指定されることで、遺産課税方式は初めて成立します。
【菅さん、そして古川さん(東大法学部出身であられます)、わかっていますよね!】

18年間、耳より“あいき”情報誌と、区役所セミナーにおいて、永久講談師;伊藤直樹は、遺言によって相続を迎えるべし!と訴えてまいりました。
100通余の公正証書遺言謄本を、あいきグループ金庫にて慎重にお預かりさせていただいております。しかし、争族状態は日々、増加しています。相続を機会としてしか、なかなか資産なんてものは、一般の現代人の手許には舞い込んでは来ないからです。

不況です。平成3年12月バブル崩壊以来、18年間、19年間全くの低成長です。あのトヨタ自動車がフラフラです。どうしたら、ご自分の大切な相続人、大切なご家族を護っていけるのでしょうか。

今一度、私、伊藤直樹のセミナーをお聴きください。今回の法改正は、税務と法務が合体してこそ、相続問題が乗り越えられる、新しいステージの始まりなのだという事を理解していただく為にも、この“耳より情報”、そして区役所セミナー等を通じて、多くの方々に新ステージをわかっていただきたいのです。

『私、筆者 伊藤直樹は、平成元年からの3年間。日本の気が狂ったバブルを30歳代前半で体験しました。

例えば、中区錦三丁目で95億円の土地取引の仲介関与+測量。中には、億単位の手数料の国外送金も目の当たりにしました。ズバリ1億円の株取引損失も自己体験しました。

あの、変額保険差益で7,000万円もの赤字が自分に降りかかりました。そして、数多くの土地売買、賃貸取引仲介者として、数多くの方々の笑い、涙、怒りを、直接、資格者代理人という立場で、今日まで27年間、眺めてまいりました。』

それでもまだ、日本人の不動産を中心とする財産に対する思い入れのハザマで、自分をはじめとするあいきグループのスタッフ50名余で(破産することなく・・・!?)一体、どこまでお手伝いが可能なのだろうかと挑戦を続けています。

私事ですが、ドイツ製高級車から、1400ccのハイバック自動車へと使用自動車も変えて走り回っています。車両用、道先案内ナビも、8年前のナショナル製をそのまま付け替えて使わせてもらっています。オールスタッフはみな、同業で他の事務所員に負けないプライドを持って、絶対就業時間数を毎月積み重ね、土・日・祝日も一生懸命に働き続けてくれています。
『おそらく、一番儲かっている同業事務所よりも、頑張る彼らの手取り給料は少ないと、私自身、わかっています。』
それでも、みなさんと一件ずつの案件を、一回毎の面談を大切にして、仕事として、ご相談にのり解決する努力を惜しまない。あいきグループには、そんなスタッフが働いているのです。

伊藤直樹(53歳)自身のこと。同じく共同代表の伊藤秀樹兄(57歳)、松田茂樹(49歳)もお引き立ていただきながら、改めて自己紹介させていただきます。

『日本人の不動産に対する思い入れ、換価した場合の資産価値との対話』。直樹のライフワークは、これが全てであります。

土地の境界位置に対する隣接地権者同士の思い入れ。相続財産に対する分割継承の地位争いへの思い入れ。税金納付への疎遠感と脱税との違い。はたまた、納税できた時の喜び(!?)。不動産売買取引における売主、買主の葛藤。・・・・・・全てが直樹には楽しくて仕方ありません。
私の仕事なのです。同業である土地家屋調査士、司法書士、行政書士、宅建業者、不動産コンサルティング技能者。そして、税理士法人あいきパートナーによる、税務、会計支援。全て、「不自由業」です!!?? つまり、皆様お客様が困ったときに、呼んで頼むことで、私共あいきグループは、お客様方に自由にできる『サービス業』なのです。サービスマンは不自由なのです。

あいきグループを紹介しようとする思いと、今回の民主党税調による中途半端とも思える相続税等の改正案提示 + 遺言の重要性アピールが、今号の耳より“あいき”情報の全ての内容となります。読み切っていただいた方とは、今一度、2011年3月国会の結果をもとに、どこかの区役所セミナーでお逢いいたしましょう!

遺産整理と遺言

遺言書を公正証書で作ったのに、それでもまた、抵抗してくる各金融機関の現状報告を、レポーター伊藤直樹よりお送りします。

私製証書で遺言を残していただいた場合、メガ銀行、地銀、信用金庫、JA農協の冷たい態度にほとほと疲れます。私、伊藤直樹が、私共、相続税情報センターの顧客様のたってのご希望で自筆証書+伊藤直樹遺言執行者パターンを、昨年、処理する事となりました。(故人のご冥福をお祈りします。)
自筆証書+家庭裁判所の検認を、まずもって金融機関の窓口担当者は信じてくれないのです。考えてもみてください。大MT,UFJ・・・さんならまだしも、地域に在る信用金庫の相続預金名義変更手続きができる担当の人って、ひとつの支店にまず2人と居ないのです。古い戸籍除籍を読める銀行マンってなかなかいやしません。だから、手続きに時間がかかるのです。

私がビシッと背広を着て、相続人関係説明図を(スタッフに)作成させて、戸籍・除籍・・・と6~10部、出生から死亡迄の戸籍関係書類を提出した場合に比べ、同一人物がセーターかTシャツを着て、かるーい「司法書士さんです?あなた?」って格好で行ったとしたら、まず一ヶ月は余分に時間がかかるという金融機関です。はっきり言って、金融機関の窓口担当(各支店に1人しかいないという)その人自体がわかっていないんですよ!相続戸籍も読み取れずに「司法書士さんが、この人とあの人が相続人適格者で、結果、遺言でこの人に全部、預金名義変更をすることでOKですか、はぁ。」なんて程度でやっているんですよ。(危なっかしいったらありゃしない=私見ですが)。

M…Bankは、戸籍フルセット預けて、一ヶ月かかって、残高証明、名義変更を、突如済ませてくれました。ある意味、プロです。N区錦の本部でしか、チェックしないそうです。
→これが、公正証書遺言だったら、直樹は、もっともっと強気になって、即座に名義変更を求めさせていただきます。土地の名義変更は、即日にでも完了させます。それでも、揉めるご家族は揉めるのです。
~揉めたとしても“あいきグループ”は、和睦の道を弁護士さんに託する直前まで、なんとかならないのか・・・と、模索し続けながら、日夜、相続事案と対峙しています。

遺産課税方式導入の直前ではありますが、もう日本の地主、地権者層の方々は、間違いなく、公正証書遺言を作成して、後継者指定をしないようでは、本家、跡取りが壊滅いたします!お判りですね。判らない方には、1月15日中川区役所でご説明させて頂きます。

孤舟族ブームとは?

日経新聞夕刊にエーーーッという内容で連載した『失楽園』の作者渡辺淳一氏が、全然「エーーーッ」ではない、定年退職中年男性の葛藤をサラッと書かれた本が、めちゃくちゃ売れています。

孤舟孤舟(こしゅう)・・・『ひとり淋しく、孤舟(こぶね)に乗って、この先、一体どのように生きていったら良いのか。全く判らない男性』が、今年から大量発生します。

昭和21年、22年に生まれた3年余りの世代を『団塊の世代』と呼んだ、堺屋太一氏(1947年~49年のベビーブームで毎年200万人以上の出生率)は、既に数年前からこの世代の引退を予期し、国も企業も退職時期を遅らせたり、国の年金負担発生をずらす等、意味深長なる政策をとってきたものの、もう、これ以上、なんともならないのが財布の実情です。相続税増税の最もきっかけにならざるを得ないのが、団塊の世代の定年退職であり、直近の年金破綻問題です。

日本国家財政は正直ギリギリですよね。民主党も自民党も、消費税増税で5兆円、10兆円の歳入不足を充足させる提案を、選挙の手前で出来ないまま睨み合っています。そんな中、相続税だけは、是が非でもなんとか上げたいのですね。反対勢力も、今の今は(農協が)手薄なのでチャンスなのです。孤舟族問題も乗り越えて、相続税重課に挑むお父さん、お母さん、・・・頑張れ!ですかね。

結論から言いますと・・・・法定相続人側の離婚問題生活事情の変化経済事情の格差・・・これって被相続人である、父、母が最後の最期・・・考えてあげなきゃいけないんじゃあないでしょうかね。いまや、3軒に1軒が離婚するという時代。私がお伺いする相続相談のみな様のお宅でも、家族関係を伺うと、離婚。生き別れしている。死別している。戻って、実家近くのアパート暮らしの方々の存在の多いこと、多いこと。
唯一、財産が自分のものとなるのは相続の瞬間となれば、誰だって、このような境遇であれば、『+α』の発言、要求となるものです。永遠に万民向きの解決方法なんぞ、ありゃしない・・・これが遺産分割&遺言です・・・よね。

自宅で亡くなりたい・・・

或る日、新幹線に乗ってJRの雑誌を手に取ると、「家で老いて、家で死ぬには」という言葉が飛び込んできました。高齢者の所在不明問題で、不正な年金長期受給の実態と、お粗末な市町村の戸籍管理。150歳、180歳という有り得ない死亡認定の実態が明らかになりました。
これには、平成22年6月1日の戸籍法改正が関係してきます。除籍、改正原戸籍の保存期間は、これまで80年だったところ、150年に延長となりました。これからは、除籍となった戸籍は、翌年から150年間、保存されることとなりました。

そういえば、10月中旬に奄美大島を襲った集中豪雨で、地区の住民の戸籍簿が町役場支所1階で泥水に浸かってひっくり返った様子を、テレビ映像で見ました。

戸籍法施行規則には、「事変を避けるためでなければ、市役所又は町村役場の外に、これを持ち出すことができない」「・・・持ち出したときは、遅滞なくその旨を管轄法務局へ報告しなければならない」とあります。戸籍事務は本来、法務省、法務局の管轄すべきところ、これを市町村へ事務委託していますから、今後、市役所等では、この保存管理に手を焼く事になります。これまでに既に廃棄処分を市町村から法務局に申請中のものも、廃棄決定していても、現物がありさえすれば復活し、150年保存してもらいます。
ご本人の気持ちとしてはやはり、在宅の最期を望んでおられますが、家族が大変です。

達者でポックリ逝くということ・・・

さてさて、上述「家で死ぬ」というのは、孤独死問題にもつながります。そして、記事の中で、在宅介護を手厚く支える仕組みの必要性が謳われていました。
多くは「住み慣れた地域、自宅で老後を過ごしたい」にも関わらず、特別養護老人ホームへの入居待機者は、42万人も存在します。 (厚労省:特養の入居申込者の状況 09年12月発表)

特養はもともと、在宅生活が困難になった高齢者を市町村行政が“措置入所”させるための施設です。そして42万人は、本人の希望でなく、家族が介護を遠慮し、特養へ入れたがっているのが実態と報告されています。特別待機の多さは、家族介護の過酷さの現われであり、「はじめは在宅で、家族みんなで頑張ろうとするが、半年も過ぎると疲れてくる。まずショートステイを利用し、そのうち施設入所を望むようになる」と言われています。

仕事柄、ご高齢の方々に本人確認をする事が多くなっています。ご自宅におみえの場合。特養の他、老人病院(長期療養病床)。病院と在宅の中間リハビリ施設=老人保健施設。更には、9人単位で入所しておられるグループホーム。訪問看護サポート等をなくしては、なかなか出来るものではありません。

かつては8割以上を占めた自宅死は、2009年には12%。老人ホーム等の施設死が4%。大半の日本人(85%)は病院で亡くなり、裏口からひっそりと運び出される。更には厚労省の終末期医療に関する調査によると、自宅で看取る事が可能と考えている人は6%程度との事(2008年)。

最後は病院で最善の治療を、という考え方と、誰にでも死は訪れるという当然の事が、大変な介護負担という観点によって、病院任せとしているのならば、家族内において、『死』についての「本人の意思」確認が十分ではないという事になるのでは。

安楽死や尊厳死。延命治療についても、親子で、相続の件同様に話し合っておくべきではないでしょうか。

元気なうちから家族と考えておきたい具体的な事柄

決めた内容を事前指示書として文書化し、定期的に見直すとよい
例えば・・・

終末期の療養の場について
自宅、又は病院、老人ホームを希望する。
終末期になった時に受けたい医療
心臓マッサージなどの心肺蘇生を する or しない
延命のための人工呼吸器を する or しない
胃ろうや鼻チューブによる栄養補給は する or しない
痛みや苦痛を取る緩和治療
消炎鎮痛剤、麻薬、鎮静剤の使用は する or しない
緩和治療が不十分で効果がない場合は、
鎮静剤の投与で死期が早まったとしても、
意識を失なわせて欲しい
or 意識を保つため、我慢する
延命治療の中止を望む場合
余命○ヶ月以下と診断された場合は、すべての積極的治療、延命治療を拒否
植物状態が○ヶ月以上続いた場合は、
人工呼吸器や栄養チューブなどを外し、自然経過に任せる

(網野晧之私案「満足死宣言」『在宅死のすすめ』所収)

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